世の中には「SES企業」なるものがあるらしい。
そして当社も外部からの認識としては「SES企業」というステータスになっているようだ。
SESという用語は、準委任契約でシステムエンジニアリングをする契約形態の造語の一種だと認識しているので、SES企業という言い方自体があまり好きではないけれど、せっかくなので世間から認識されているSES企業の有り様について考えてみよう。
~はじめに~
このブログはSES企業の気分を害する恐れがあります。
感情のコントロールが苦手なSES企業の方は早めにとんずらする事をお勧めします。
1.タイトルに関して
あまりにも増えすぎじゃないか!?笑
環境が整うと、同じDNAを有したクローンが一気に増えるという点で筍を見ているようだ。
よって、個人的には雨後の筍系SESと表現している。
(こちらは弊社本社に隣接している竹林と雨後の筍です。立派でしょ^^)
いや、特に東京エリアの話なんですけど凄いぞアレ。
1社から営業DMが来て、なんとなく初回挨拶したらそこから人材情報が大量に流れてくる。
1か月後に「新しく会社創りました。事業内容は全く同じSESです。人材情報送ります。」と一方的に通達されて、そこからも大量に人材情報が流れてくる。
更に1か月後に…(以下同文)
これは極端な例としても、似たような現象があちらこちらで起きている。
それらの特徴として、とにかく箱を増やして採用の流入口を増やして全体で数を追って、ひたすらバラ撒く。という手法を採用している点で共通している。
コーポレートサイトはそれっぽく仕上がっていて、なんか世界を変えるぞ的なトップメッセージがあって、我々はエンジニアファーストであり、高還元かつPJは選択し放題。我々の会社は理想の地だ。
みたいな事が書かれている。
ハッキリいってSESはあくまでクライアントワークなので、クライアントが死ねば我々も死ぬ。というのが個人的な大前提である。
よって理想の地は存在しない。日本企業を相手にしている場合は、日本経済が終われば終わるのだ。
過剰な表現はユートピアや桃源郷の世界線。そんなものは現実世界では存在しないと思う。
2.当社は雨後の筍系なのかどうか
では当社はどうなのか。というお話。
(1) SESを提供しているかどうか
(2) 雇用の調整弁として系の中に組み込まれているかどうか
・SESを提供しているかどうか。
そんなのSES契約なんで当然でしょと言われればそれまでなのですが、「システムをエンジニアリングするサービスを提供して、相応の対価を得ているか」という至って基本的な話。
SESというのは、顧客目線で言えば
「すぐさま調達する事が困難なレベルの技術リソースを、高い対価を支払って一時的に市場から借り入れる。」
事だと認識している。
当たり前のことだけど、それが出来ているかどうか。これが一つ。
当社の場合はできている部分もあれば出来ていない部分もある。でも、できればこの領域を増やしたいと思っている。売上の拡大は興味が無いけど、濃淡の推移には興味がある。そんな感じ。
・雇用の調整弁として系の中に組み込まれているかどうか。
上記と異なり、こちらは「雇用する事が容易ではあるものの、固定費(正規雇用)として計上するには不安定なポジションのために、一時的に市場からなるべく安価で借り入れる」というマーケットになる。
もうガッツリとその市場に漬かっている会社も結構多い。そして雨後の筍系SESは大体この色が濃い。
市場が拡大傾向にある間は特に努力をせずとも系の力学上、マーケットが肥大化するので社員数も売上も拡大はする。
しかし参入障壁が異常に低い上に、供給過剰が目に見ている(2024年9月現在)ので、目先の間しばらくはシュリンクして元気を失っていく気もしている。
市場動向によるリスクヘッジを行うためにも自社が「SES提供がメインなのか、雇用の調整弁としての機能がメインなのか。」というのは定期的にウォッチしておきたい所である。
3.雇用の調整弁としての存在は悪なのかどうか
当然、そんな事は無い。
というより必然的に発生するポジションなので、誰がどうみたいな話ではない。
ただの存在そのものであり、それでしかない。
ただし、系に組み込まれた雇用の調整弁でしか無い存在が、大々的にアイデンティティを宣伝したり、経営者が実業家顔したり、金持ちアピールをする姿には個人的に嫌悪感を抱いている事は事実である。
スーパーで半額の総菜と缶ビールを買って「まあ、あっしらなんかは所詮はその程度なので、その系の中でちょっと輝ける存在になりたいですわな~」みたいな謙虚な雨後の筍系SES会社とは仲良くなれる気がしている。(当社も部分的にはそうだし)
だがしかし、ベンツやJeepに乗ったり、酒や女やギャンブルに高報酬をつぎ込んでいるお前ら。お前らはダメだ。
そういう風土の会社さんはお互いのためにも営業してこないでクレメンス。
4.SES企業は未経験者、1年生を採用すべきかどうか
ちょっと話は脱線するけどコレも書いておこう。
結論として、この層の採用にはかなり消極的である。
というより「教育機能を持たないSES会社が、商材と在庫を確保するという目的でドンドンいけいけな採用をする」という事をちょっと訝しんでいる。
勿論、そういった所からスタートして結果的には、「数年経験してしっかりしたエンジニアになれました!」みたな人たちも多くいるので全てを否定する訳では無い。
ただ、雇用の調整弁として機能しやすい単純作業や単純労働を「IT・DX予算」みたいな領域に組み込むことで、未経験者や1年生未満限定の格安業務市場みたいな領域がある事も事実であり、そこだけでグルグルと仕事を回す事はどうなんだろうと思う。
うん。多分喜んでいるのは会社だけなのである。
中堅以上のSierや利益を上げている事業会社であれば、多少の教育枠・教育機能は持っているはず。本当にSEを目指すならそっちの入り口を目指す方が良いと思う。
(当然ハードルは上がると思う。しかし本来は入り口が高いハードルであるべきなのだ。)
そして昭和な事を語るようで恐縮であるが、教育投資を割いてもらった会社に対してはしっかりとその分を返すまでは仕事に邁進してほしいなと思う。
稼げるようになったし即転職。みたいな事をしていると教育枠自体がどんどん狭まって長期的に業界のためにならないよ。と思う。
~まとめ~
筍というのは不思議なもので、普段は無性生殖で同じDNAを持つクローンを異常なスピードで繁殖させていきますが、数十年に一度は花を咲かせて有性生殖を行ったりもします。
また、誰が食す事を思いついたのか不思議に思うくらい固くてえぐみがあって下処理に時間がかかるくせに、一度調理をしてしまうと独特の食感と風味で人間を楽しませてくれる。
(こちらは隣接地で取れた筍を使った筍としらすのチャーハン。今春の調理。)
また、その柔軟性と耐久性から食器や様々な工具・遊具などにも採用されるし、竹林の合間を縫う風の音なんてのは中々に風流があるものです。
弊 社 は そ う い う 筍 で あ り た い
おわり
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