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新井雄志

フラット型組織の功罪


はじめに


この記事の対象は大手企業の承認フローや階層型組織に疲れて、

フラット型組織のスタートアップ・Tech系ベンチャーに憧れを抱いている人を対象にします。



なお、本記事は実際にスタートアップやTech系ベンチャーにヒアリングした感想と筆者のこれまでの体験をもとにしており、あくまで主観です。






みんな好きですよね




前提ですが、みんなフラットで風通しの良い会社に憧れますよね。



創業5年以内の小さな会社で人事採用として働いていた時代に多くの不満を持った転職希望者と出会いました。



・風通しが悪い


・過去の慣習から脱却しようとしない


・新規事業をやる気がない




では、フラット型組織は上記の不満を全て覆せるのでしょうか。






覆せる。理論的には。





覆せるでしょう。



そもそも、階層型組織が効力を発揮するのは


強いトップダウンが有効で(と思っている)決裁者を絶対とする会社



過去の組織ナレッヂがリスク管理や企業戦略に活かせる会社


です。(大半の大手企業は後者。)



逆にいうと暗中模索しながらメンバー同士で知恵を組み合わせて事業推進するチームには向きません。




こうした集団は大手企業の中でもプロジェクトチームとして独立採算を持った方が良い。


というのは組織論で言い古されたお話。

(それが出来ているかどうかはさておき。)





ですので、小集団で新しい分野を切り開こうとするチームは


風通しが良く 慣習に惑わされず 新規事業に意欲的


になれるはずです。







理論的には。








本当にそう??


ここでとあるTech系ベンチャーのお話をしましょう。

(実際の役員クラスから聞いた体験談です。内容は抽象化します。)




その会社は界隈ではかなり有名で著名な投資家も投資しており、

シリーズBの投資や業務提携話がバンバン舞い込んでいる状況です。




一方でまだ黒字経営ではありません。



これから安定黒字を達成できるかどうかの瀬戸際。


達成するためには優秀なITエンジニアが不可欠です。



優秀なエンジニアに裁量を持たせてスピーディーに良いサービスを構築するため、フラットな組織体制にして採用活動を大々的に始めました。





沢山のエンジニアが集まった。



結果、沢山のエンジニアが集まりました。



大手企業出身者、大学院生、元経営者、フリーランス などなど。



この時点での構成は、役員:バックオフィス:エンジニア=2 : 1 :7  くらいの比率。




バックボーンも経験もバラバラだけど個人としての実績や能力には自信がある人たちが集まりました。




ここに様々な投資家の意向が交じり合います。


ダイバーシティで良いですね。









最初は割と上手くいく


急に社員が増えてミックスカルチャーです。


皆さん、過去の経験や実績に自信もあるので社長・役員に対しても正面から意見を言える環

境だったようです。



おおっ! 良いではないか!


社長も意見は大歓迎。



良いサービス作ろうぜい!という勢いでチームが進んでいきます。









しかしここで問題が。


新規事業やTech系ベンチャーというのは順風満帆に事が進むばかりではありません。


・売上が思った以上に伸びない


・顧客からのクレーム


・開発方針での食い違い


・嵩むコスト


・株主からのプレッシャー



様々な事業リスクが常に存在します。



そんな状態で一日一日と時間が経っていきます。



フラット型組織で喧々諤々と討論をしながら皆仕事に取り組んでいました。










だれる社員が現れだす


特にネガティブな状況になった時に現れます。


「ベンチャーである」という事には全社員がコミットしていたはずですが、

全員が役員・株主クラスの熱量を保てるわけもありません。



「うまく行けば膨大なメリットを享受できるかも」と旨味をメインに考えていた社員が時間を経つにつれて、<だれはじめ>ます。

※言葉にするのは難しいが、だれる のです。感覚で理解してください。




そうなった人は長期的な会社方針に合わせるのではなく、自分目線での提案や権利の主張を多くし始めます。



・給与が安いのでモチベーションが…


・こんなやり方ではスキルが身に付かない


・株主や役員はすぐに利益を考える。それでは上手くいかない。

など。

(これら提言が的を射ているどうかはここでは評価しません。)










どうなるか


一度、会社に対してマイナスな思考になってしまうと中々挽回が難しい。



結果 そこそこ離職者が現れます。



そしてその人たちは言います。




自分の思っていた会社・組織・やり方じゃなかった。



と。





なんかどっかで聞いた話ですね。









これは課題なのか





さて、この顛末は課題事項なのでしょうか。




課題ではあると思いますが、個人的には「通るべき道」という風に感じています。

ですので…


仕方ない。


ビジネス意識・精神レベルが合わない人は辞めたらよい。



というスタンスが正解な気がします。





これが結論なのですが、



フラット型組織の特徴である


権限や発言権がフラットです!


にはあまり踊らされない方が良いです。



参加者のビジネス意識・精神レベルもある程度フラットで無いとグダグダな組織になりかねない。


という事を意識した方が良いです。





ですので、フラット型組織に就職を考えている方がいれば、できれば選考時に役員・エンジニア・バックオフィス・古参・新参 すべての人に中長期的な話やプランを聞いておくのが良いと思います。



それで齟齬が少なければイメージ通りの組織に近いかもしれません。










まとめ



フラット型組織で重要なのは参加者のビジネス意識や精神レベルもフラットかどうか。



思惑がバラバラであれば、フラットであってもグダグダになる可能性は否定できない。



その辺りを事前に見極められるとベスト。



もしくは多少バラバラでも、そこに課題意識を持っており改善に取り組めているかを重視しよう。







おわりに。



これは当社の現ビジネスモデルとは異なる世界の話なので、 この文章は当社の広報やメリットには何ら寄与しません。

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